遥か遠くの普段の喧騒から、お客様を私たちの世界へと誘う。
時は経ち、年齢も進みます。そのとき、自分の人生の一部が詰まった店があれば、どれほど幸せでしょうか。私はそう考え、小さなakaiitomaisonを大切に経営しています。お客様からいただく手紙やメッセージの中に、akaiitoが単なる店ではなく、お客様の想い出の詰まった場所であることが伝わってきます。
9月30日、一夜限りの隠れた小料理屋「名月」で、中秋の名月を愛でる素晴らしい「お愉しみの会」を予定しています(中秋の名月は前日ですが、金曜日だったので)。当店は10席しかありませんが、ご来店下さるお客様のうち3組6名様はご夫婦で、4名様はお一人様でご参加いただきます。近くにある非日常を愉しむ場であり、毎日一緒に過ごす夫婦でも「時にはゆっくり話す時間を持とうよ」という思いで「名月」を愉しみにしてくださっています。ご夫婦それぞれに、人生のストーリーがあります。出会わなければ結婚もしなかったでしょうし、毎日一緒にいる相手を選ぶことは難しいことです。そんなお二人が「akaiitoで美味しい料理を楽しもう」と、心待ちにご予約下さり、日常の非日常を素晴らしい思い出に過行く時間の中に閉じ込めて行かれる事は素敵な事だと思います。
私は飲食業に長く携わっており、お客様をもてなす一方、自分がお迎えされることもあります。思い入れのある場所を訪れることが好きで、美味しい料理は欠かせません。いつもの場所は安心感があり、友達を作ることもあります。私は一人旅が好きで、一人で店に入るのも好きです。気に入ったら、家族や友達を連れて行ったりします。信頼できる店がある事は、幸せなことです。
若い頃は、時間をどんどん消費しますが、歳を重ねると、自分がこれまで何をしてきたのかを考える時が訪れます。その瞬間、いつでも思い出と出会える場所があると、時間がまるで映画の中に閉じ込められているかのように感じられることでしょう。
akaiitomaisonは、そんな特別な場所の一つとして存在しています。名月の夜だけでなく、普段のランチやカフェの時間も含めて、いつでもお客様のご安心や「ほっとする場所」でもあります。
ここで過ごすひとときは、あたかも映画のような物語の中に迷い込んだかのような感覚に包まれることでしょう。お客様が大切な思い出を創り、それをいつまでも心に留めていただける場所でありたいと願っています。名月の夜も、普段の日常も、どちらも特別な時間としてお過ごしくださいませ。
「隠れ小料理屋 名月」は、キャンドルの炎で営業します。そう、ゆっくりお話しいただけるように。