一夜限りの「隠れ家小料理屋 名月」
初めてご来店のお客様も大歓迎です。小料理屋開店の時は、初来店のお客様や遠方からのお客様もおいでくださいます。時間の方は調整中です。
一晩限りの「名月」という店が生まれる背景には、熱い思いと長い道のりがあります。「akaiito」をスタートさせた当初のビジョンは、夜に楽しめる一品料理と、お酒を飲まなくても楽しめる「大人の小料理屋カフェ」でした。最初の頃は、夜には一品料理を提供し、昼にはランチとスイーツも提供するという、寝る間も無い忙しいスケジュールで頑張っていました。
私自身は、以前は大阪で働いており、仕事の後に立ち寄れる場所やイベントが多く、そうした人間関係の中で生活していました。
12年前、奈良にはカフェの選択肢が限られていました。もちろん、老舗の店もありましたが、夜に営業しているカフェはほとんど存在せず、ファミリーレストラン以外の場所を探すのは難しかったです。お酒を楽しみながらくつろげる場所はあったかもしれませんが、車で出かけて手軽に立ち寄れる場所が不足していたため、夜に開いていて、お酒を飲まなくても楽しめる場所があると良いなという自分の想いで始めました。
「akaiito」の道のりは簡単ではありませんでした。当時、奈良にはあまりカフェ文化が根付いておらず、「カフェってお酒を飲むところ?」や「カフェとファミレス、どっちが優れているの?」といった質問をよく受けました。
今は、本当に素晴らしいカフェがたくさん存在します。それは「インスタグラム」の影響かもしれません。私が「akaiito」を始めた頃は、スマートフォンを持っている人は少なく、ほんの一部の人々しか持っていない時代でした(もちろん、私が仕事でお世話になっている方々も、当時は高校生や大学生でした)。素敵な店を知ってるのは、一部のおしゃれな人たちだけ・・という時代。
皆様は12年前、何をしていたでしょうか?
今では考えられないかもしれませんが、「ランチはハンバーグですか?」「オムライスですか?」「エビフライ?」といった質問を日常的に電話で受けました。今はインスタグラムがあり、それぞれもお店が自分らしいお料理を提供しているため、カフェランチのバリエーションも増えましたが、当時のランチの印象はファミリーレストランから想像されることが多かったです。
しかし、取材に来店してくださる方々から「akaiitoは本当に美味しい」と評価していただき、和食の名店とともにエグゼクティブマガジン「naranto」に取材記事を見開きで掲載されたこともあり、徐々に「ちょっと特異なカフェ」のイメージが認識していただけるように・・・なったらいいなという程度笑。
店を開業する前に、私はマネージャー店長として働いていた店で、オーナーから「ヘルシーにする必要はない」と言われながらも、健康的な料理を心を込めて提供しました。今でもメニューを見返すと、非常に美しい斬新な料理が多いです。そして、その店からのお客様とは、もう15年以上の付き合いになります。非常にありがたいことです。
ビジコン(ビジネスプランコンテスト)でセミファイナルまで進んだこともありました(夜22時まで営業して夜中にパワポで準備をしていました)。多くの雑誌やコラムニストが「akaiito」について記事を書いてくれたり、さまざまな出来事がありました。それにより、「身体に優しい」というコンセプトを理解いただけたのかな、と思います。夜の営業を止めたのは2017年だと思いますが、正直に言えば、夜に楽しみにしてくれるお客様はそれほど多くはありませんでした。よく言われたことは「何が食べられるのか分からない店には行きづらい」ということで、これについて考える必要があると感じました。
そのため、夜の営業を終了し、ランチメニューを常時提供し、お客様が楽しんでいただける美味しい料理を中心に提供することに決定めました(グルテンフリーの乳酸菌と酵素で仕込んだ旨からあげや鍋炊きの玄米を中心に)。そして、2020年にパンデミックの時代が過ぎ、現在に至っています。
シンプルですが、私は「白和え」を作るのが大好きです。かつて北新地の和食で働いていた頃、さまざまな食材が白和えに変身する瞬間に心が躍りました。それは、食材が一気に上品な料理へと変わる魔法の瞬間でした。そして、大人たちが集まる店の雰囲気も私にはたまらなく魅力的で、くつろげる空間に魅了されました。
しかし、「akaiito」を始めて白和えを提供すると、お客様から「白和えって何ですか?」という質問をよく受けました。この点でも、自分がしたいお料理を提供することが難しいという認識を持ちながら、方向修正を行ってきました。
話が長くなりましたが、一夜限りではありますが「小料理屋 名月」を開店するには、大きな情熱があります。私は好きなお料理でお客様を喜ばせたいという強い思いがあります。そ
前回ご来店いただいたお客様からは、「美味しかったなぁ」という言葉や、「絶対また来たい」という感想をいただきました。しかし、そのから5年も経ってしまいました。前回は「睦子と尚美」という隠れ小料理屋でしたが、その5年間で尚美さんは結婚し、母親にもなりました。
そんな長い時間が経ってしまいましたが「美味しいお料理を召し上がっていただきたい」という気持ちがあるります。正直に言えば、多くの席を埋めたいとか、そういったことが主要な目標ではありません。私の大きな感謝の気持ちです。お客様が喜んでくれることを何より願っています。
今回、1日限りの和食レストラン「小料理屋 名月」を開く決断は、ある方との対話の中で生まれました。「古川さんのお料理が好きで、特別に思っているお客様のために、月に一度、特別なお料理の日を設けることはどうでしょうか?」と。
akaiito開業当初から、クリスマスディナーにずっとお越しいただいていたり、以前の小料理屋での思い出を来て下さったお客様と話したり。当店は多くのお客様に支えられています。その思い出は、お客様の心にずっと残り、「美味しかった」「楽しかったね」と。
この共有の思い出という体験は、人々との交流に欠かせないものであり、ストレスのない素晴らしい思い出として、お客様の心だけでなく、私の心にも長く残ります。