一本の電話から始まった物語
「ケーキの予約をしたいのですが」
ある日の午後、一本の電話が鳴りました。 少し緊張されたような、けれど穏やかな声。
「ありがとうございます。どちらのチーズケーキでしょうか?」とお尋ねすると、受話器の向こうでわずかな沈黙がありました。
「インスタグラムで見かけた、誕生日のケーキを……」
中身は濃厚なチーズケーキであること。 お値段は8,000円であること。 そして、その時の一番美味しいフルーツを私にお任せいただくこと。
一つひとつ丁寧にお伝えすると、お客さまからは迷いのない、真っ直ぐな「はい」というお返事が届きました。
爽やかな風を纏ったお客さま
年末の忙しい盛り、お支払いに来られたのは、若くて、冬の清らかな空気を纏ったような爽やかな男性のお客さまでした。
画面越しに私の手仕事を見つけてくださり、「お任せします」と全幅の信頼を寄せてくださったこと。そのお気持ちを受け取っただけで、私の胸の奥には、ぽっと小さな灯がともるような温かさを感じました。
当日、心を込めて仕上げたケーキを前にして、そのお客さまは少し照れたように教えてくださいました。
「妻への、誕生日プレゼントなんです」
「贅沢」の先にあるもの
完成したケーキの写真をお見せした瞬間、お客さまのお顔がぱぁっと春が来たように明るくなりました。 「わぁ……すごい!」
その弾んだ声と笑顔を拝見したとき、定休日を返上し手にキッチンに立っていた疲れなんて、どこかへ消えてしまいました。
愛する人のために、8,000円のチーズケーキを選ぶということ。
それは、相手を想い、特別な一日のために決断する。 それは、優しさという名前の「覚悟」なのだと思うのです。

特別な一日を、共に彩る
akaiitoのオーダーチーズケーキは、誰かの“特別な一日”のためだけに、静かにオーブンへ入れられます。 その向こう側には、いつも「喜ぶお客様の喜ぶ顔が見たい」という、切実で強い願いが込められています。
その一日が、奥さまにとって、そしてお選びいただいたお客さまの人生にとって、 少しだけ長く、美しく記憶に残る日になりますように。
私にそのお手伝いをさせてくださり、本当にありがとうございました。
