14年の歳月が宿る、飴色の記憶。
1960年代 英国ヴィンテージ ロイドルームチェア
まず、この記事を読んでいただきたい方へ
akaiitoで14年間使い続けてきた、1960年代のヴィンテージ・ロイドルームチェアをご購入希望の方へ——ご予約を承っています。
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ただし、ひとつ大切なことをお伝えしなければなりません。
akaiitoの空間をそのまま次の方へお譲りする「店舗一括譲渡(居抜き)」を優先してご案内する予定です。もし一括譲渡が決まった場合、椅子・テーブルを含むすべての什器はそちらに含まれることになるため、個別での販売はできなくなります。
つまり、今お受けしているご予約は「個別販売が実現した場合の、先着順のご予約」です。
一括譲渡の行方が決まるまでの間、この椅子を手に入れたいとお考えの方は、ぜひ今のうちにDMにてご連絡ください。状況が確定し次第、ご予約いただいた順にご連絡いたします。
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【STORY】
この椅子には、時間が染み込んでいる。
akaiitoの小さな空間で、14年のあいだ誰かの隣にあり続けた椅子。コーヒーの湯気が立ち、本のページがめくられ、友人との会話がこぼれた。そのすべてを静かに受けとめながら、ゆっくりと、深みのある飴色(アンバーパティナ)へと変わっていった。ヴィンテージ家具が持つ最も正直な美しさ、それは「使われてきた証」だと思う。
紙と鉄芯が織りなす、百年の発明
ロイドルームの起源は1917年、アメリカの発明家マーシャル・バーンズ・ロイドが特許を取得した革新的な素材にある。彼が生み出したのは、クラフト紙を細く撚って鉄芯のワイヤーに巻きつけ、専用の織機で布のように織り上げる技術だった。
完成した「ロイドルームファブリック」は、ラタンや籐よりも強靭で、なめらか。1921年にはロンドンの家具メーカー「W・ラスティ&サンズ」が英国の特許権を取得し、1930年代、ツェッペリン飛行船の客室、大西洋横断客船のデッキ、ラッフルズホテルのロビーなど、時代の最先端を行く空間には、必ずロイドルームチェアがあった。
ここで見ていただきたいのが、編み目の縁に巻かれた「ブレード(縁飾り)」だ。これもまた紙を撚ったもので、金属の留め具を丁寧に隠すように手作業で仕上げられている。ロイドルームの証明であり、職人仕事のシグネチャーでもある。
スポルディング製、1960年代という時代の意味
今回ご案内するのは、英国「ロイドルーム・オブ・スポルディング」製の1960年代ヴィンテージ。
スポルディングは、本家ラスティ社がロンドン空襲で工場を失ったのち、英国でロイドルームを製造し続けた数少ないメーカーのひとつだ。長い歴史の中で2016年に惜しまれながら廃業し、今や英国内でロイドルームを製造するメーカーは存在しない。
1960年代は、英国家具デザインがモダニズムと伝統の狭間で揺れていた時代。スポルディングのチェアには、その空気が宿っている。アームレスのすっきりとしたシルエット、しなやかな曲線を描くビーチウッドのフレーム——無駄を削ぎ落とし、座ることの本質だけを残したようなデザインだ。
「座板のない」椅子が、なぜ心地よいのか
ロイドルームチェアの座面には、合板などの硬い板が入っていない。
座面全体がロイドルームファブリック——つまり紙と鉄芯の織物——で構成されているため、座った瞬間、体重を受けてわずかにしなる。このたわみが、体のかたちに自然に沿うように働く。座骨に圧力が集中せず、体重が面全体に分散されるから、長時間座っていても疲れにくい。クッションを使わずとも、これほど座り心地の良い椅子はそう多くない。
アームレスタイプであることも重要だ。肘掛けがないぶん、テーブルへの出し入れがしやすく、どんな姿勢でも自由に座れる。前傾みで本を読んでも、背もたれに寄りかかってコーヒーを飲んでも、この椅子は文句を言わない。
飴色のパティナは、誠実に手入れされた証
akaiitoで14年間、丁寧に使い続けてきた結果として、全体が深みのある飴色(アンバーパティナ)に育った。素材が時間をかけて安定し、落ち着いたということだ。
編み目の乱れやほつれはなく、縁のブレードもきれいな状態を保っている。ヴィンテージとして、安心して日常に迎え入れていただける。
現在、状態の良い1960年代ロイドルームチェアには、国内外で1脚10万円以上の値がつく。それだけの希少性と、それだけの普遍性が、この椅子にはある。
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「本当に好きなもの」だけを、そばに置く。
安くて便利なものは、いつでも手に入る。でも、手に入れるたびに何かが少し、軽くなっていく気がしないだろうか。
部屋に一脚、本当に気に入った椅子がある。それだけで、空間の重心が変わる。座るたびに、迎え入れた日のことを思い出す。使うほどに愛着が深まり、自分だけのものになっていく——そういう所有の仕方が、ある。
流行に乗って買い替えるのではなく、長く付き合える何かを選ぶこと。それは単なる消費ではなく、自分の暮らしに「価値ある時間」を招き入れる行為だと思う。
この椅子はすでに、100年を超える技術と、60年の歴史と、14年分の誰かの記憶を持っている。あなたがこれを迎えた日から、それはあなたの時間を刻みはじめる。
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価格・お取引について
■ ロイドルームチェア(アームレス)
- タグ有り:1脚 44,000円(税込) ※2脚ご予約済
- タグ無し:1脚 38,500円(税込)
■ テーブルセット| akaiitoのために制作した、ロイドルームと対話するテーブル。1本脚アイアン仕様で安定感があり、天板は木製。
- 机1卓+タグ有チェア1脚:77,000円 (税込)
- 机1卓+タグ無チェア1脚:71,500円 (税込)
- 机単品:33,000円 (税込)
■ チャーチチェア ——「恋が実った椅子」として
akaiitoには、もう一脚の椅子がある。
チャーチチェア。教会の礼拝堂で長く使われてきた木製の椅子で、そのまっすぐな背もたれと、どこか厳かな佇まいが、この小さな空間に似合っていた。
この椅子には、不思議な来歴がある。akaiitoでの14年のあいだに、この席に座った二人が、その後に結ばれたというエピソードが何度も重なった。縁起の良い席として口づてに広がり、やがて雑誌やウェブメディアの取材を受けるようにもなった。「恋が実る席」と呼ばれている。
多分椅子に魔法があるわけではない。ただ、相手の話をちゃんと聞きたくなるような、あの座り心地が、何かを変えることがあったのかもしれない。
- 1脚:50,000円(税込)
■ お引き渡し 基本は店頭でのお渡しとなります。配送をご希望の方には、別途送料にて対応いたします。
■ ご予約について(必ずお読みください)
*店舗一括譲渡(居抜き)を優先してご案内しています。一括譲渡が決定した場合、椅子・机などの個別販売は行いません。
個別販売が実現した場合に備えて、先着順でご予約を承っています。ご希望の方は、DMにて「タグ有1脚希望」など、ご希望の内容をお知らせください。状況が確定し次第、ご予約順にご連絡いたします。
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店舗一括譲渡について(後日詳細をお知らせします)
この空間ごと、次の誰かへ。
akaiitoのインテリア・什器一式、厨房設備を含めた一括譲渡も準備しております。飲食店営業許可・菓子製造業許可(いずれも改装なしで取得可能)つきの空間を、すぐに使い始めていただけます。
- 造作譲渡:350万円+税
飲食店をゼロから開業する場合、一般的に約2,000万円前後の初期費用が必要とされています。ここなら、すぐあなたの物語を始めることができます。
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