2026年2月19日

午後三時。

やわらかな西日が赤い壁を染め、木のテーブルに影を落とす。

扉を開けた瞬間、外の時間とは少しだけ速度が変わるのがわかります。

ここは、生駒の住宅街にひっそりと灯る小さなアトリエ。

パリの古いアパルトマンの一室のように、どこか私的で、どこか物語の気配がある空間です。

席数は多くありません。だからこそ、ひとりで訪れても、自然と背筋が伸びる。

15年目。約5,479日。

雨の日も、風の日も、真夏の熱気の中も、オーブンの前に立ち続けてきました。

温度計の数字だけではなく、生地の呼吸、空気の湿度、卵の機嫌まで読む。そうして生まれたチーズケーキは、「初めて食べる」と言っていただける味に。

やわらかく、ミルキーで、濃厚。

静かに心に残る一皿です。

ご注文をいただいてから煮出す漢方チャイ。

お客様のお顔を見てから挽くコーヒー豆。

湯の落とし方を、その日の気配でほんの少し変える。

効率とは正反対の営みかもしれません。

けれど、この「わずかな揺らぎ」にこそ、人がここにいる意味が宿ると私は信じています。

このチーズケーキは、通販で全国へ。

生駒市のふるさと納税返礼品として、そして「ナラノコトナラ」の返礼品としても選ばれています。

遠くに届いても、姿勢は変わりません。

小さな部屋で守ってきた丁寧さのまま、箱を開ける誰かの時間に寄り添う。

そして、少しだけ秘密を。

店内に、静かに光が落ちる席があります。

お客様の間でいつしか「恋が実る席」と呼ばれるようになった場所です。告白が成功した、再会が叶った、長く止まっていた関係が動き出した――そんな報告を、何度も聞いてきました。

その席に座る人は皆、いつもより少し素直な顔をしています。

甘さが、心の緊張をほどくのかもしれません。

大きな店ではありません。

派手な演出もありません。

けれど、ここには「自分のために選ぶ時間」があります。

誰とも同じでなくていい。

人混みから少し離れて、自分の感性に戻る場所。

扉を開けるとき、あなたはただの来店者かもしれません。

 

でも帰る頃には、「この場所を知っている人」になっている。

もし今、少しだけ静かな場所を探しているのなら。

そして、ほんの少しだけ未来に期待したいのなら。

この小さなアトリエは、今日も、あなたを待っています。

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📍奈良県生駒市俵口町514

営)12:00~17:00(LO)

木・金・土・日

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カフェアカウント

チーズケーキアカウント

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静かに自分を取り戻すための、小さなチーズケーキの部屋