大切な人とakaiito

春、akaiito

扉を開けた瞬間、ふんわりと漢方と甘い香りが漂い、やわらかな光が店内を包み込む。
ここはまるで映画のワンシーンのような世界。

Lloyd Loomのヴィンテージチェアが並び、静かなジャズが流れる。
（この椅子の座り心地は、お客様を想う店主の拘り）
ふと目を閉じれば、どこか遠い異国のカフェに迷い込んだような気さえする。

写真の席に座られたのは、お父様、お母様、そしてお嬢様とお孫さま。四国から帰省したお嬢様が、恐らく4月から大学生になる娘さまを連れて、ご実家へ。

そして、旅立ちの前に、親子3世代で過ごす大切な時間を楽しみにakaiitoへと足を運んでくださった。

「こんにちは」

お声をかけると、娘さまが少し大人びた微笑みを浮かべる。まだあどけなさの残る表情と、新たな世界へ踏み出す期待に満ちた瞳。

ご家族の優しい視線が、その成長をそっと見守っている。

アメリの世界に迷い込んだような照明が、カップに映り込んでキラキラと輝く。

チーズケーキやスイーツと一緒にアールグレイ、ディンブラティー、東宝美人茶——
それぞれが好きな一杯を選び、カップを手に取る。

「おじいちゃまが、こんな素敵なお店に連れてきてくれたの」

お孫さんの言葉に、おじいさまが少し照れたように笑う。

「美味しいね」
「すごく美味しい」
「また、ここに来ようね」

そんなささやきが、店内に優しく溶けていく。

ゆったりとした時間の中で、家族の想いが交差する。懐かしい思い出、これから始まる新しい日々
——

akaiitoは、そんな時間をそっと包み込む場所。

「お茶とケーキならakaiitoやな」

そう言って、ご近所のみなさまが、大切な人を連れて来てくださるたびに、この場所の意味が深まる。家族の記憶にそっと寄り添いながら、ここで生まれる物語を大切に紡いでいきたい。

扉を開ければ、そこは春、旅立ちのakaiito。
今日もまた、新しい物語が生まれる場所。

akaiito

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