
珈琲までも、美味しい。
14年、変わらないことがある。
小さな部屋。静かな空気。ジャズが流れている。ヴィンテージチェアが、時間を吸収する。
この店では、何一つ、妥協がない。
チーズケーキは濃厚で、芯がある。そして珈琲までも、本格派だ。注文ごとに豆が挽かれ、ハンドドリップで落とされる。その音が、世俗との距離を示す。「すべてが本物である」という確認が、身体を通す。
ここへ来る人の98%は、ひとりだ。
それは偶然ではなく、この空間が、そういう人間を呼び寄せているからだと思う。疲れた時。誰かと比べたくない時。自分の内面の奥底に下りていきたい時。そういう時に、人はこの扉を開く。
珈琲の話
特別な豆が、ご注文ごとに挽かれ、ハンドドリップで落とされる。濃厚で、芯のある珈琲。飲むたびに「これは本物だ」という確認が身体を通す。
珈琲だけ。チェアに座って、本を読んでいるだけ。それで十分な時間が、ここにはある。敷居は高くない。ただ、そこにあるものは、すべて真摯である。
チーズケーキの話
自分へのご褒美として、このチーズケーキを選ぶ人がいる。濃厚で、しかし品がある。食べた時、何かが満たされる—それは甘さだけではなく、「ちゃんと作られたもの」への信頼感のようだ。
遠方からの来店。遠距離のふたりが、ここで恋を深める。そういう不思議が、この店には起こる。ふるさと納税でも、チーズケーキは地手に入れる事が出来る。
最後に
何かが足りない時、人はここを訪れる。
珈琲だけでいい。本だけでいい。何も足さなくていい。ただそこにいるだけで、何かが満たされる場所。
それが、akaiitoだ。
文:黒木透