2026年4月26日

あなたの夢は、何ですか?

そう問われるたびに、私の心はいつも同じ場所へ還っていきます。 二十代の頃から、ただの一度も変わったことのない、その答えへ。

大切な人に囲まれて、「いい人生だったな」と思いながら、最後の時を迎えたい。

「それだけ」が、私のすべての選択の羅針盤になっています。


この問いを、初めて真剣に考えたのは、二十歳の頃でした。

きっかけは、一冊の本です。「三国志演義」。そこに登場する諸葛亮に、私は深く、心を打たれました。乱世を生き抜きながら、己の信念と才能を惜しみなく尽くし、最期まで誠実であり続けたその生き様。「どう生きるか?」という問いを、彼は私に教えてくれました。

カフェを始めること自体が夢、というわけではありません。

大切な人から愛されながら、人生の幕を引く。そのために、自分に出来ること、自分の中にある才能だと信じられることを、思い切り、精一杯やってみようと思った。それが、店の始まりです。

夢の逆算ではなく、生き方の逆算です。


私は、鍵を持って家を出るとき、必ず行き先を決めます。

これは比喩です。本当のドライブの話ではありません。 鍵があっても、車があっても、目的地のないまま走り続けても、どこにも辿り着けない。道を間違えても、遠回りをしても、目的地さえあれば、人はそこへ向かって走ることができる。人生も、きっとそういうものだと思っています。

「今を生きる」ことは、大切です。もちろん。 でも、私の夢である「どんな人生の幕を閉じたいか」という灯りを見つめながら逆算したとしても、「今」を丁寧に生きることは、十分にできる。むしろ、灯りがあるからこそ、今日の一歩が輝くのだと、私は信じています。


私のお財布は、使いにくいのです。

けれど、agnes.の文字が金色に輝いていて、エナメルがとても可愛らしくて。それだけで、もう十分なのです。使い続けているうちに、不便さなど、すっかり忘れてしまいました。

気に入っていれば、それでいい。

これが、私の小さな哲学かもしれません。

誰かが「いい」と言っているから、ではなく。使い勝手が悪いから替える、でもなく。「これはそういうものだ」と受け入れて、好きだから使い続ける。人とのご縁も、きっと同じです。思った通りにいかないことなど、お互い様。それでも、言葉の温度が心地よくて、気遣いがどこか自然で、無理なくしっくりくる人と、長くご縁が続いていくようです。

何より先に、「好き」という気持ちがなければ、何も始まらない。それはきっと、人に対しても、物に対しても、自分自身に対しても。


楽な方は、選びません。

昔、心から尊敬する方に言われた言葉があります。「楽な方を選ぶと、何も起こらない」と。その言葉が、今もずっと、私の中に生きています。

楽をしないというのは、無理をするということでも、ただ忙しくするということでも、ありません。

私の場合は、人生の逆算から、今この瞬間に選べる最善を考え抜いて、たとえ怖くても、そちらへ踏み出してみること。自分自身は、勇気もなく、立ち止まって。進んでゆく誰かを妬むのではなく、起きたことも、選んだことも、そのすべてを自分で引き受けながら、前へ進んでみること。私にとって「楽をしない」とは、そういうことです。

誰かのせいにすれば、その瞬間は楽になれるかもしれない。でも、心はきっと、ずっと晴れないままです。すべてを引き受けるのは、怖いし、重い。それでも、その重さの中にこそ、自分の人生があると、私は思っています。

私の人生は、のんきではありません笑 。結構な激動です。心が折れそうなこともあれば、しんどくても笑っていなければならない時もある。苦労は、いくつもいくつも、あるものです。

けれど、それも含めて、楽しんでいます。 なぜかといえば、やっぱり、目的地があるから。どんな道も、そこへ向かう過程だと思えば、栗恣意事はあったとしても、迷子にはならないのです。


カフェを始めて、十四年が経ちました。

どれほどの出会いがあったでしょう。疲れた顔でいらしたのに、帰り際に少し笑顔になってくださった方。雨の日も、雪の日も、変わらず席についてくださった方。何気ない会話の中に、私が救われた言葉がいくつもありました。

支えてくださったのは、みなさまです。

ありがとうございます。その言葉では、まだ足りないくらい。でも、この言葉しか持っていないので、精一杯の気持ちを込めて。

ありがとうございます!!


優しくあること。

それは、弱さではなく、強さの形だと思っています。誰かに優しくするには、自分の中に余白がなければできない。その余白をつくるために、自分を丁寧に扱うこと。好きなものを好きだと言えること。目的地を持って、今日を歩くこと。

あなたの夢は、何ですか?

 


 

最後に、これを読んでくださっているあなたへ。

今、もしも立ち止まっているなら、それでいいと思います。立ち止まることは、諦めではありません。次の一歩を、ちゃんと考えているということだから。

怖くて当然です。迷って当然です。 でも、あなたにしか歩けない道が、ちゃんとあります。

誰かと比べなくていい。誰かより速くなくていい。 ただ、自分の灯りを見つめて、そちらへ向かって、進んでみてください。

あなたの人生は、あなたが思っているより、ずっと豊かで、ずっと可能性に満ちています。

どうか、自分を好きでいてください。 そして、優しい気持ちを、持ち続けてください。

その優しさは、きっと誰かの、そしてあなた自身の、明日を照らします。